夏が好き.照りつける太陽に生温かい風,潮の薫り.
この季節になるといろんなことを想い出す.
満たされなかった想いとうまくいえなかった言葉.
壊れてしまいそうなくらいに心の中で膨らんでいるのに,
私は表現する術をまるでもたずに,ただ拳を握り締めながら悔し涙を呑むだけ.
繰り返される激しい後悔.
いまもまるで変わらない.
私には伝えたいことがある.伝えたい想いで狂いそうになる.
でも,何一つとしてこの想いを言葉にすることができないのだ.
フレーズにならないから微笑むことしかできなくて,
でも,そんな微笑のどこに救いがあるのだろう.
一瞬の煌めく光と祝福の音が奏でる花火.
供に散り逝く運命を夜空に描いて泣きながら笑ってみせた.
私の限られた時間が終わってしまう前に,
なにもかもが手遅れになってしまう前に,
胸に木霊するあの日からの叫びを,私は声に出して綴ってみたい.
空っぽなこの手の中に掴み取れる未来が,悪戯に切なく哀しいものでないことを祈って.