一番暗いところにたどり着いたと思ってた.でもその先に…もっと暗い闇が見えたんだ

2003/08/01

壊れた理由

世の中幸せも不幸せも認識次第であると誰かが言った.
そうかもしれない.
その価値観は確かにフェイクであり,勘違いであり,慰めであるだろう.
でも,この退屈な私の日常においては,その偽りこそが確かに事実なのだろうと思う.

ずっと捜していた.壊れた理由.
ふと気づいたトキに,私は自分の位置が掴めなくなっていたのだ.

それまでそこにあった当たり前の環境.
手にしていたありふれた自由.
幼稚なわがままに微笑み返してくれる大好きなあの娘.

当然のことのように過ごしていたありふれた日常に,私はなんの疑問も抱いていなかった.
疑問を挟む余地などないほどに,日々を過ごす喜びと刻々と刻まれるその想い出に,
私は心から満足をしていのだ.
だから,それがなにを意味しているかなんて一度も考えたことなどなく,
脆く崩れ去っていく現実に,泣き叫びながら助けを乞うた.

抵抗する相手も見えず,守る手段を知らず,逃げる路さへ見えなかったから...

どうしてそのようなことが起こるのか私には理解できなかった.
何故昨日まで意識することなくできていたことに足が震えるのか.
周りから友達が減り,描いた夢が欠け,微笑んでくれたあの娘が落胆の表情を浮かべる,
そのトキその度に,失ったものに気づいて自分が手にしていたものの重みを知った.

これは悪夢なのだろうか?それもすこぶる性質の悪い・・・

悪夢であったとしても震えながら涙を流さずにはいられないのに,
それが現実であれば,小さな不幸さへ予測していなかった私に耐えきれるはずもなく,
そして私は壊れていった.

目に映るこの日常に形作られる,淀んだ世界.
なにもかもが間違ったことであり,救いのない不協和音.

大切な10代のもっとも夢を見るトキに私の瞳には陰しか映らず,
たったひとつの望みは昔の自分への帰郷.
将来を描くことなどできず,一歩前の未来さへ疑心暗鬼な中で,
ひたすら過去の夢見心地な風景と,自分の居場所を求め続けた.

救いは過去になど存在しないと知らずに.
見つけた過去に戻れる術を持たないことを理解できずに...

風になれると勘違いして夏の夜に舞い散った400cc.
好意にさへ疑心暗鬼な瞳を向けずにはいられなかった.

言葉にならない想いを抱えて空っぽな笑顔を浮かべ続けた歳月.
この残り少ないひとときに私のすべてを刻んでみたい.
私の文章を素敵な笑顔で褒めてくれたあなたを想い出して.